「麻疹(はしか)」の感染リスクと受診・予防方法について

こんにちは、KSPオンライン診療通信です。

最近、ニュースなどで「麻疹(はしか)」の流行を耳にすることが増えていませんか?
日本はこれまでの予防接種施策によって麻疹の感染が大きく減少していましたが、実は今、グローバル化によって海外からウイルスが持ち込まれるようになった影響で、大人を中心に流行が懸念されています。

今回は、麻疹の正しい知識とリスク、万が一のときの医療機関へのかかり方、そして知っておきたい予防策についてお伝えします。

麻疹(はしか)とは?大人が感染するリスク

麻疹は、麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の熱性発疹性疾患です。 10~12日間の潜伏期間を経て、39度前後の高熱や咳、鼻水といった風邪のような症状から始まり、その後、耳の後ろや首筋から全身へと特有の発疹が広がっていきます。

「子どもの病気」というイメージが強いかもしれませんが、大人が感染すると合併症により重症化しやすいのが特徴です。肺炎や脳炎などの重い合併症を引き起こしやすく、場合によっては入院治療が必要になるケースもあります。
特に妊婦さんが感染すると重症化しやすい傾向にあり、流産や早産のリスクが高まります。

マスクだけでは防げない!驚異の「感染力」

麻疹の最大の脅威は、その感染力の強さにあります。
空気感染するため、手洗いやマスクだけでは防ぐことはできません。通常のマスクでは、空気感染からウイルスを防ぐことができないためです。
また、麻疹ウイルスの空気中での生存時間は2時間程度となっており、感染者がいなくなった後も空気感染リスクが残ります。

インフルエンザや新型コロナウイルスと比べても感染力は格段に高く、免疫を持たない人は、感染者と同じ空間にいたり、すれ違ったりしただけでも、高い確率で感染する可能性があります。


あなたは大丈夫?麻疹に罹りやすい「大人の世代」

麻疹はワクチン接種による予防が最善の対策です。2回接種で97~99%の予防効果があります。
現在、子どもたちは法律に基づき2回の定期接種を受けています。しかし、現在20代~40代の大人世代(2005年より前に生まれた世代)は、制度の変遷により「定期接種が1回だけ」または「受けていない」可能性があります。自分の接種状況は、母子手帳からご確認ください。
「1回は打ったから大丈夫」と思っていても、時間の経過とともに免疫(抗体価)が低下していることがあるため、この「免疫の空白世代」の大人たちが、今最も罹りやすいリスクを抱えているのです。
なお、50代以上(1978年より前に生まれた世代)は幼少期に自然感染して生涯免疫を獲得している人が多いと言われています。 しかし、加齢により免疫力が低下している可能性はありますので、注意は必要です。

予防接種制度の変遷
* 1978年(昭和53年): 麻疹ワクチンの定期接種開始(当時は1回接種のみ)
* 2006年(平成18年): 麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)導入、2回接種へ制度変更
* 2008年~2012年: 過去の接種率の低さから、10代(中学1年生と高校3年生)を対象に、2回目の追加接種を行う特例措置が5年間実施



麻疹かも?と思ったら、いきなり病院へ行くのはNG

もし「高熱が出て、そのあとに発疹が広がってきた」「麻疹の患者と接触したかもしれない」と思ったら、直接クリニックや病院の受付へ駆け込むのは絶対にNGです。
待合室にいるだけで、免疫のない赤ちゃんや妊婦さん、持病のある他の患者さんに一瞬で感染を広げてしまうため、多くの医療機関で直接の来院はお断りしています。

そのため、周囲への二次感染を防ぎつつ、安全に医師の診察を受けるためには「オンライン診療」の活用が有効です。

* 二次感染のリスクを低減: 外出により他の人にうつす心配も、移動で体力を消耗する必要もありません。
* 自宅から的確な指示がもらえる: カメラ越しに発疹などの症状を医師が確認し、今後の療養や受診の動き方をお伝えします。

※麻疹は感染者が出たら医療機関から保健所への報告義務がある「5類感染症」に指定されており、医療機関としても個別の対応が必要になります。 受診を希望される場合は、まずは医療機関に電話等で連絡を入れてご相談ください。



自分の免疫を知る!抗体検査や予防接種のすすめ

麻疹は根本的な治療薬がありません。そのため、予防が重要になってきます。
麻疹を防ぐために最も有効な方法は、体の中に免疫をつけることです。予防接種を2回行っている人や、感染したことがある人は、免疫を持っている可能性が高いです。
自分が予防接種を受けたかどうかは、母子手帳を確認する必要があります。わからない場合は、採血で免疫の有無を調べる「抗体検査」を受けることも有効です。国内で一般的な「EIA法」の場合、数値が 16.0 以上であれば麻疹の発症を防ぐのに十分な免疫があると判定されます。
免疫がない場合は、「予防接種(主に麻疹・風疹混合のMRワクチン)」を受けることが推奨されます。

現在、東京都内をはじめ、大人の麻疹・風疹ワクチン接種や抗体検査の費用助成(一部助成または全額助成)を行っている自治体が複数あります。主に「これから妊娠を希望する女性とそのパートナー」や「特定の世代」が対象となっています。ぜひ一度、お住まいの自治体の情報を調べてみてください。
※助成の対象が風疹のみか麻疹も含むかは自治体により異なるため、お住まいの自治体の制度を事前にご確認ください。



麻疹は強い感染力を持ちますが、 正しい知識を持ち、ワクチンなどで予め備えておくことで、 感染リスクを大きく減らすことができます。ご自身の免疫を確認すること、そして感染が疑われる場合には「オンライン診療を受ける」という選択肢を持っておくことが、大切な家族や周囲の人を守ることに繋がります。


編集後記

麻疹はかつて、江戸時代などには「命定め(命が決まる病気)」と呼ばれ、一度は誰もがかかる通過儀礼のように恐れられていました。当時は有効な対策がなく、神頼みをするしかなかったと言われています。
現代を生きる私たちは、ワクチンという最高の予防手段と、自宅にいながら受診できるオンライン診療という便利なツールを持っています。科学とテクノロジーの恩恵を賢く使って、麻疹感染の流行を乗り越えていきましょう。

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