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2024.01.05

成功率をグンと高める「禁煙治療」

プラタナス編集部

投薬や診療による「禁煙治療」

がん・脳卒中・心筋梗塞・動脈疾患など多くの疾患の原因となる喫煙。単なる習慣ではなく『依存症』となっている場合が多く、自力で禁煙することが困難な方がほとんどです。
この身体的・心理的ニコチン依存症を、投薬と診療により治療するのが禁煙治療です。

「身体的依存症」と「心理的依存症」

① 身体的依存

喫煙によりニコチンが体内に入ると、脳内からドーパミンというホルモンが放出されて快感を覚えます。ニコチンが切れるとドーパミンが減少し、イライラ・不安などの不快症状が生じます。この現象が離脱症状であり、この状況を打開するために再度喫煙します。この悪循環を『身体的ニコチン依存症』と呼びます。

②心理的依存

「タバコを吸わないと頭がすっきりしない・仕事が進まない」という思い込みや、「自分はタバコを吸っていても病気にならない」と過小評価してしまう状態のことを『心理的ニコチン依存症』と呼びます。

加熱式タバコなら安心?

加熱式タバコに含まれる発がん物質やニコチン濃度は、紙巻タバコに比べると低いとされています。しかし発売されて間もないことから、まだわかっていないことも多く『紙巻タバコよりも加熱式タバコの方が健康への影響が少ない』というわけではありません。海外では禁止されている国もあり、加熱式タバコを含め喫煙しないことが最も良いことであることは言うまでもありません。

身体的依存に有効な治療薬について

①チャンピックス®

内服により離脱症状を軽減するほか、内服中に再喫煙した場合に「おいしくない」と感じます。合計12週間内服し、投薬なしで禁煙した場合と比較して約2.3倍成功率が高まります。

副作用として吐き気、便秘、悪夢、不眠症などがあり、医師と相談しながら必要な場合は対症療法を受けることも可能です。めまいや意識障害等の症状が現れ、自動車事故に至る場合があるため、内服期間中は自動車運転はできません。

2024年1月現在、チャンピックスは流通がストップしており処方することはできません。

②ニコチネルTTS®

毎日1枚、皮膚に貼り付け、離脱症状を軽減させる効果があります。合計8週間使用し、投薬なしで禁煙した場合と比較して約1.7倍成功率が高まります。
副作用として貼り付け部位の皮膚炎、不眠症などがあります。

③ニコチンガム

薬局薬店で購入する薬剤です。タバコを吸いたくなった時に噛むことで離脱症状を軽減します。12週間を目安に使用し、徐々に使用個数を減らしていきます。
投薬なしで禁煙した場合と比較して約1.4倍成功率が高まります。

④禁煙治療用アプリおよびCOチェッカー

ご自身のスマートフォンにインストールして使用する治療用のアプリです。禁煙外来で間隔が空く間、日常生活での禁煙を支援します。禁煙外来終了後24週まで使用できます。
投薬なしで禁煙した場合と比較すると、チャンピックスとアプリの併用で約4倍成功率が高まります。①のチャンピックスと合わせて処方することで保険適応となりますが、チャンピックスの流通がストップしているため、2024年1月時点で自費診療となります。

禁煙治療のススメ

思い立ったときが禁煙の始めどきです。ご自身の力だけでは難しいこともあると思いますので、ぜひ気軽に当院へご相談ください。あなたに合った禁煙方法を専門医がアドバイスします。

■参考文献
・禁煙治療のための標準手順書第8。1版 
・喘息COPDと気道疾患包括診療マニュアル 中外医学社

この記事を書いた人

プラタナス編集部

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