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2023.12.22

花粉症の基礎知識:原因・症状とケアの理解

プラタナス編集部

花粉症について

花粉症とは、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となり、鼻水や目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こす病気で、季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれています。

全国の具体的な患者数は不明ですが、日本アレルギー協会会長の奥田稔氏が行った大規模な疫学調査によると、全国平均の有病率は15.6%で、地域によって異なります(東北13.7%、北関東21.0%、など)。また、別の調査ではスギ花粉症の有病率が全国で20%を超えるとされています。

原因

花粉が目、鼻、のどの粘膜などに付着することで、アレルギー反応を起こしている状態です。アレルギー反応とは、体内に入った原因物質であるアレルゲンを取り除こうとする免疫反応によって生じます。

花粉症は、粘膜などに付着した花粉を侵入者として認識して、IgE抗体を生成します。IgE抗体は肥満細胞とくっつき、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が分泌され、神経や血管を刺激することで、鼻や目に様々な症状を引き起こします。

代表的な花粉としては、春のスギやヒノキが挙げられます。

今まで花粉症になったことがなかったとしても、昨年までの花粉で抗体が許容量の限界にきて、今年から花粉症になってしまう、花粉症デビューしてしまう可能性もあります。

(参照:花粉症ナビ 花粉症のメカニズム

症状を引き起こす植物の種類

代表的なスギ花粉・ヒノキ花粉・ブタクサ花粉以外にも、つらい鼻水や鼻づまりなど、花粉症の症状を引き起こす植物はたくさんあります。スギ(飛散時期は2~4月)、ヒノキ(飛散時期は3~5月)、ブタクサ(飛散時期は8~10月)以外にも、シラカンバ(4~6月)、イネ科(4~11月)、ヨモギ(8~10月)など、ほぼ年間通して何らかの花粉が日本中で飛散しています。

(参照:花粉症ナビ 花粉症のメカニズム

スギ花粉の飛散時期

毎年、東京都内では、2月上旬頃から飛散開始となり、3月上旬から下旬にかけてピークを迎えます。

春の花粉飛散予測:日本気象協会

くしゃみ・鼻水以外も。花粉症の様々な症状

花粉症の症状は、水のような「鼻水」と、繰り返す「くしゃみ」、「鼻づまり」が3大主徴です。目にもかゆみや異物感が生じ、花粉飛散量に比例して症状が悪化する傾向があります。鼻症状は呼吸がしづらくなるため、集中力の低下やよく眠れないなど、勉強や仕事、家事に大きな影響を及ぼします。また、花粉症の人の中には、果物や生野菜を食べた後、数分以内に唇、舌、口の中や喉にかゆみやしびれ、むくみなどがあらわれることがあります。これは、口腔アレルギー症候群と呼ばれており、花粉にあるアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)と、果物や野菜に含まれるアレルゲンが似ているために起こります。

主な花粉と交差反応性が証明されている果物・野菜など

花粉果物・野菜など
カバノキ科(シラカンバ、ハンノキ、オオバヤシャブシ)バラ科(りんご、洋ナシ、さくらんぼ、桃、すもも、あんず、アーモンド)、セリ科(セロリ、人参)、ナス科(じゃがいも)、マメ科(大豆、ピーナッツ)、マタタビ科(キウイフルーツ)、カバノキ科(ヘーゼルナッツ)、ウルシ科(マンゴー)、シシトウガラシ など
ヒノキ科(スギ)ナス科(トマト)
イネ科ウリ科(メロン、スイカ)、ナス科(トマト、ジャガイモ)、マタタビ科(キウイフルーツ)、ミカン科(オレンジ)、マメ科(ピーナッツ)など
キク科(ヨモギ)セリ科(セロリ、人参)、ウルシ科(マンゴー)、スパイスなど
キク科(ブタクサ)ウリ科(メロン、スイカ、カンタロープ、ズッキーニ、きゅうり)、バショウ科(バナナ)など
(参照:食物アレルギー診療ガイドライン2016《2018年改訂版》より)

重症度はどのように診断する?

花粉症の重症度は、鼻水をかむ回数とくしゃみが生じる回数、鼻づまりは口呼吸の回数で診断します。鼻水とくしゃみは密接に関わるので、まとめて「鼻水・くしゃみ型」、鼻づまりが他の症状より強いと「鼻づまり型」、3つの症状が同様に強いと「充全型」と分類します。

花粉症は重症でも生命に関わることはありませんが、花粉症と食物アレルギーが合わさった口腔アレルギー症候群ではまれですが、全身に症状が出現するアナフィラキシー反応が生じる場合があり、医師の正確な診断・治療が必要となります。

検査

血液検査をおこない、スギ、ヒノキ、ブタクサなどのIgE値を測定します。

IgE抗体は免疫にかかわるタンパク質で、アレルギー体質の指標の一つになります。

初期療法

初期療法とは、花粉が飛び始める前から内服薬などを開始する治療のことです。早めに内服を開始することにより、症状が出る時期を遅らせて、花粉シーズン中のつらい症状を軽くする効果があります。

・いつから薬を開始するか
本格飛散する2週間ほど前から開始します。下記を参照にしながら飛散前の開始時期を検討してください。

春の花粉飛散予測:日本気象協会

症状にあわせた治療法

【内服薬(飲み薬)】
抗ヒスタミン薬の飲み薬を使用します。症状が強い場合には、ロイコトリエン拮抗薬やステロイドの飲み薬も使用することもあります。
花粉が大量に飛散して今まで使用していた薬でも効き目が不十分になったときには、一時的により強い薬に変更したり、別の薬を追加することもあります。
薬ごとの効果や眠気の一般的なデータはありますが、実際の効き具合や眠気には個人差があります。自分にとって効果があった薬、なかった薬の名前をお薬手帳などで確認してわかるようにしておくとよいでしょう。

【点眼薬(目薬)】
目のかゆみが強い場合には、抗ヒスタミン薬やステロイドの目薬を使用します。
コンタクトレンズを装着している場合は、コンタクトレンズを外して点眼して、十分な間隔を空けてから装着してください。

【点鼻薬(鼻スプレー)】
鼻水、鼻づまりが強い場合には、ステロイドや血管収縮薬の鼻スプレーを追加することがあります。
鼻水で薬が流れてしまうことがあるため、点鼻の前には鼻をよくかんで使用してください。

どのように予防すればいい?

花粉が口、鼻、目の中に入ることで症状が発生するため、ゴーグル型のメガネやマスクの着用をおすすめします。
家の中に花粉を持ち込まないように、玄関先で服にブラシをかけること、布団や洗濯物を干したらしっかりと叩くことも効果的です。

下記も参考にしてみてください。(スギ花粉症の予防と治療

注意点

抗ヒスタミンが含まれた飲み薬には、眠気が起こりやすいものがあります。眠気の出やすさは個人によって異なります。

眠気の起こりにくい薬を選んで、処方することもできます。「仕事や運転の関係で、眠くなるのが怖くて花粉症の薬が飲めない」等、お困りの方は医師にご相談ください。

当院の診療内容

当院では、初期療法、飲み薬・目薬・鼻スプレーによる治療をおこなっております。眠くなりにくい飲み薬や費用負担の少ないジェネリック医薬品も処方しています。ドラッグストアで販売されている市販薬や他院の処方薬で効き目が不十分な方も、お気軽にご相談ください。(診療のご予約はこちら

ひと言で「花粉症」といっても症状の出かたや、薬の効きかたには個人差があります。「毎年同じ薬を処方してもらっている」「この薬でないとなかなか効かない」などがあれば、薬剤名のわかるように、お薬手帳やメモなどでわかるようにしておいてください。

検査、舌下免疫療法、注射、レーザー治療などは当院ではおこなっておりません。

この記事を書いた人

プラタナス編集部

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